Brahman Naman

2.0

 インドでもっとも過激な性描写に挑戦しているのは、主にベンガル語映画界で活躍するQ(カウシク・ムカルジー)監督である。「Gandu」(2010年)など、彼の撮る映画には、インド映画の限界に挑戦した性描写が登場する。2016年7月7日からNetflixで配信されているヒングリッシュ映画「Brahman Naman」も、Q監督による、過激な性描写が目白押しのダーティーな青春映画だ。2016年のサンダンス映画祭でプレミア上映されたが、インドでは上映されていないと思われる。

 主演はシャシャーンク・アローラー。他に、タンマイ・ダナーニアー、チャイタニヤ・ヴァラード、ヴァイシュワト・シャンカル、スィンドゥ・シュリーニヴァーサ・ムールティ、スボリナー・セーンなどが出演しているが、ほぼ無名の俳優たちである。

 1980年代のバンガロール。ブラーフマンのナーマン(シャシャーンク・アローラー)は性的に欲求不満を抱えたクイズ王だった。道端で一目惚れしたリタ(スボリナー・セーン)を妄想しながらマスターベーションをする毎日だった。バンガロールのクイズ選手権で優勝したナーマンとそのチームは、カルカッタで行われる全国大会に出場する。道中の列車で、マドラス代表の女性チームと合流し、親交を深める。だが、全国大会ではカルカッタ代表に負けてしまう。バンガロールに戻ったナーマンは、リタにも振られ、仕方なく、自分に言い寄って来ていたアシュ(スィンドゥ・シュリーニヴァーサ・ムールティ)と事を致そうとするが、意気地なしのために振られてしまう。

 ストーリーはたわいもないものだった。クイズオタクたちがクイズの全国大会に出場するためにカルカッタに向かうというものだが、終始シュールレアリスムな展開で、あってないようなストーリーだった。

 むしろ、映画の主眼はストーリーにはなく、クイズオタクの登場人物たちが、クイズ的な知識をひけらしながら会話をするのを楽しむ映画であった。だが、英語が難しすぎて容易には理解不能である。幸い、Netflixでは日本語字幕付きなので助けになったが、それでも字幕に載って来ない細かい部分を聴き取って理解するのにも苦労した。そもそも、雑学的なことを言っているので、それが分からないと付いて行けないのである。

 Q監督作らしく、性描写はぶっ飛んでいた。主人公のナーマンがまずはぶっ飛んだキャラクターだ。ブラーフマンであるにも関わらず、酒を飲み、煙草を吸い、夜な夜なマスターベーションを繰り返す。それも単なるマスターベーションではなく、冷蔵庫の扉にペニスを挟んで腰を振ったり、パンカー(天井扇)とペニスを紐でくくりつけて自動でシコシコする器械を考え出したり、金魚鉢にペニスを入れて金魚に亀頭を突かせたりと、ありとあらゆる変態行為をしている。本物ではないだろうが、ペニスも映像に出て来る。これはインドでは上映できないだろう。

 登場人物の多くはブラーフマンで、台詞の中には、低カースト者を差別する発言がたくさん出て来た。この点でもインドで上映が困難である。もちろん、Q監督は、差別や偏見を助長するためにこの映画を作ったのではなく、むしろ、そういう高慢なブラーフマンの若者たちを風刺したかったのだろうが、そう素直に受け止められるものでもなかった。

 「Brahman Naman」は、インド映画界でもっともぶっ飛んだ映画を作っているQ監督の映画である。インドで一般上映不可の過激な性描写は本作にも健在で、人を選ぶ映画である。ストーリーにあまり意味はなく、台詞も難解で、扱いがとても難しい。この映画に美点を見出せる人はいるのだろうか。