Rocky Handsome

3.0

 ヒンディー語映画界では、他国や多言語の映画のリメイクが盛んだ。南インドのヒット映画のリメイクは昔から行われているし、ハリウッド映画のリメイクも多い。そんな中で、韓国映画の隆盛に伴って、ヒンディー語映画界は韓国映画のリメイクも行うようになり、「Zinda」(2006年)や「Ugly Aur Pagli」(2008年)などの映画が作られて来た。

 2016年3月25日公開の「Rocky Handsome」は、韓国映画「アジョシ」(2010年)のリメイクである。監督は「Force」(2011年)などのニシカーント・カーマト。主演はジョン・アブラハム。他に、ナタリア・カウル、ディヤー・チャルワード、シャラド・ケールカル、スハーシニー・ムレー、テディー・マウリヤ、カズ・パトリック・タン、ウダイ・ティーケーカルなどが出演している。

 また、監督のニシカーント・カーマト自身が悪役を演じ、シュルティ・ハーサンが特別出演、ノラ・ファテーヒーがアイテムソング「Rock Tha Party」にアイテムガール出演している。

 舞台はゴア。質屋のハンサム(ジョン・アブラハム)は、隣人アナ(ナタリア・カウル)の娘ナオミ(ディヤー・チャルワード)に懐かれていた。だが、アナは麻薬中毒者で、ゴアの麻薬密売を牛耳るマントゥー(ウダイ・ティーケーカル)が受け渡しを行っていた2kgのヘロインを奪って逃げたことにより、マフィアに追われることになった。アナとナオミは誘拐される。

 マントゥーは、ケヴィン(ニシカーント・カーマト)とルーク(テディー・マウリヤ)の兄弟を使って麻薬密売をしていたが、ヘロインを失ったことでケヴィンを叱責していた。それに恨みを持っていたケヴィンは反旗を翻す。

 ハンサムはナオミを助けるため、彼女を解放する条件として、ルークの指示に従ってヘロインをマントゥーに届ける仕事を請け負う。だが、ルークは麻薬取締局のディリープ・サンゴードカル警視監(シャラド・ケールカル)に密告しており、マントゥーは警察の急襲を受ける。マントゥーは脱出に成功するが、ハンサムは逮捕され、アナは遺体で発見される。

 拘束されていたハンサムは逃げ出し、手掛かりをたどって行って、ケヴィンまで辿り着くが、ケヴィンのボディーガード、アティラ(カズ・パトリック・タン)に阻まれ、負傷する。また、ディリープらはハンサムの正体を突き止める。彼は元諜報員で、コードネームはロッキー、暗殺の専門家であった。本名はカビール・アフラーワトと言った。

 ケヴィンとルークは、臓器密売を本業としていた。カビールはまずは臓器摘出をするアジトに潜入し、ルークを抹殺する。そこには多くの子供が幽閉されていたが、ナオミはいなかった。そこで今度はケヴィンの待つ教会跡へ突入する。アティラと死闘を繰り広げ、ケヴィンを殺した後、遂にナオミを見つけ出す。カビールはディリープに逮捕されるが、ナオミを近所の店主に預け、刑務所へ向かう。

 原作「アジョシ」をかなり忠実になぞった映画であり、一般的なヒンディー語映画とは異なる味付けのアクション映画になっていた。謎の経歴を持つ主人公が実は諜報機関のエージェントだった、という展開はヒンディー語映画にもよくありがちだが、終始影のあるキャラというのは珍しい。主人公カビールと少女ナオミの関係は、「レオン」(1994年)との共通点がある。

 ジョン・アブラハム演じる孤独なワンマンアーミーの主人公に対して、悪役の数が非常に多い。大ボスのマントゥーはすぐに手下のケヴィンとルークに殺されてしまうが、他にも組織の構成員が何人もいて、それぞれが十分に描き切れていなかった。カビールの好敵手となったのは、ボディーガードのアティラであったが、彼はナオミの救出にも一役買っており、実は重要なキャラであった。それでも、悪役をこれだけ分散させる必要があったのかと疑問に感じた。

 特別出演のシュルティ・ハーサンは、回想シーンにのみ登場する。カビールの妻で、妊娠中に敵対勢力に殺されてしまう。カビールが諜報員を辞めて質屋をしている理由と関係あると思われるが、物語中では多くは語られない。

 ノラ・ファテーヒーがアイテムガール出演するアイテムソング「Rock Tha Party」は、とても懐かしい歌だ。デンマークのバンド、ボンベイ・ロッカーズの2004年のヒットソングである。このバンドにはデンマーク人とインド人が参加しており、「Rock Tha Party」の歌詞はヒンディー語とデンマーク語と英語のミックスとなっている。当時はインドで大ヒットしたものだった。この曲は10年以上の時を経て、公式に「Rocky Handsome」で使用されている。

 「Rocky Handsome」は、韓国の大ヒット映画「アジョシ」の忠実なヒンディー語リメイクであり、ジョン・アブラハムの独壇場アクション映画である。原作のテイストが強く、あまりインド映画らしくないが、引きつけるもののある映画に仕上がっている。