Local Kung Fu (Assamese)

3.0

 今日は、オシアンス・シネファン映画祭にて、まず午前9時半から上映のアッサミー語映画「Local Kung Fu」を観た。予算9万5千ルピー(15万円以下)、世界で最も低予算なクンフー映画を銘打った野心的な作品である。

監督:ケニー・デーオリー・バスマタリー
音楽:トニーDB
出演:ケニー・デーオリー・バスマタリー、サンギーター・ナーイル、ウトカル・ハゾワリー、ボニー・デーオリー、ビバーシュ・スィンガー、ロニー・デーオリー、ジョニー・デーオリー、ASデーオリー
備考:スィーリー・フォート・オーディトリアム1で鑑賞。オシアンス映画祭。

 グワーハーティー。チャーリー(ケニー・デーオリー・バスマタリー)の父親はクンフーの達人で、毎日練習をさせられていた。だが、同居する従兄弟のジョニーはそれほどクンフーに興味がなかった。チャーリーは5年間付き合った恋人スーミー(サンギーター・ナーイル)がモントゥーという男とお見合いをさせられるということで、モントゥーの振りをして彼女の父親ダース氏に会いに行く。ダース氏は多少違和感を感じながらもチャーリーを歓迎する。

 一方、ドゥールーもクンフーの達人であった。だが、相棒のターンセーンと共に腕力を使ってグワーハーティーの裏社会に君臨していた。ドゥールーは、とある場所に酒屋を開くために役所と交渉していたが、そこには学校があったので役人はいくら賄賂を提供しようとしても受理しなかった。ドゥールーは、たまたま手下に盗ませたダース氏のノートPCから、酒屋の開店においてダース氏が鍵を握っていることを知る。そこでドゥールーはスーミーを誘拐しようとするが、チャーリーが立ちはだかる。しかしながらドゥールーの腕の方が数段上で、チャーリーはこてんぱんにやられてしまう。

 一方、ジョニーは受験生だった。ドゥールーの不良息子ボンゾやKKは一度チャーリーとジョニーを恐喝するが、クンフーで打ちのめされてしまう。そこで彼らはジョニーと友達になってクンフーを学ぶことにする。それは長続きしなかったが、ジョニーは受験の前日にモントゥーの家に連れて行かれ、酒を飲まされてしまう。その影響で朝寝坊したジョニーは、バスの中でも寝過ごしてしまい、結局受験出来なかった。

 チャーリーは、ジョニーに悪い友達が出来たことを知って危惧し、彼らの家に抗議に行く。ところがそこにはドゥールーとターンセーンがいた。ドゥールーは、ボンゾとKKが酒を飲んだことに怒るが、チャーリーに対しもう一度決闘を挑む。チャーリーは1ヶ月の猶予を要求すると同時に、もし自分が勝ったら今後手出しをしないことを誓うという条件を付ける。ドゥールーも、もし自分が勝ったらチャーリーたちはグワーハーティーから出て行かなくてはならないという条件を提示する。

 チャーリーは父親の下で1ヶ月間クンフーの特訓に励む。そして遂に決闘の日が来た。チャーリーのクンフーは上達しており、ドゥールーを圧倒する。途中ターンセーンが参戦して来るが、それも簡単に撃退してしまう。最終的にドゥールーに負けを認めさせる。

 インドの主要な映画産業と言えば、ヒンディー語、テルグ語、タミル語、マラヤーラム語、カンナダ語、ベンガリー語、マラーティー語などで、最近ではボージプリー語やパンジャービー語などの映画産業も成長が著しい。ただ、アッサミー語映画というのは今まであまり名前を聞いたことがなく、かなり前に読んだ何かの本では、「超Z級映画の宝庫」などとかなり見下した言い方で紹介がしてあったのを覚えているくらいだ。今回初めてアッサミー語映画を観る機会に恵まれた。

 はっきり言って「超Z級」の表現は必ずしも大袈裟ではないと感じた。ストーリーは滅茶苦茶であるし、技術も演技も未熟である。キャストもほとんどが監督の家族や親戚で、監督自身が主演を演じている。ただ、「Local Kung Fu」は9万5千ルピーという超低予算で制作されたことを念頭に置いて鑑賞すべきであろう。また、ストーリーはあってないようなものであったが、アクションシーンは意外によく出来ており、その点でも評価出来る映画だ。

 クンフー映画ということで、当然ブルース・リーやジャッキー・チェンなどから影響を受けている訳だが、来場していた監督の弁によると、最も手本としているのは、「Undisputed 2」(2006年)や「NINJA」(2009年)のアイザック・フロレンティーン監督とのことである。

 先日観た「Superman of Malegaon」(2008年)とも共通することだが、このように地方で作られる低予算映画には、映画作りの技術はどうしても未熟になってしまうことがほとんどなのだが、それを補って余りある強い情熱が込められているものである。「映画が好きだ!」だけでなく、「自分で映画を作りたい!」という情熱を持ち、そしてそれを形にし、こうして映画祭での上映にまで漕ぎ着けたことは、それだけでひとつの達成だと言えるだろう。

 今後さらにこのような低予算映画が地方から雨後の竹の子のように大量に出現する可能性もある。なぜなら撮影機材がかなり安価になって来ているからだ。特にデジタル一眼レフの動画機能が映画撮影にも使えるレベルになって来ており、映画作りが徐々に庶民の物となりつつあるのを感じるからだ。それはどの国にも当てはまるだろうが、殊にインド人は元から映画好きの国民性であるし、人口も多いので、映画作りに挑戦する人の数は世界で最も多くなるかもしれない。ちなみに「Local Kung Fu」はキヤノンのEOS 550Dで撮影されたとのことである。

 「Local Kung Fu」は、「B級映画祭」みたいなイベントでも開催されない限り鑑賞するのは難しい作品であろうが、アッサミー語映画という点やインド製低予算クンフー映画という点などで物珍しさがあり、一定の重要性を持った映画だと言える。