Kyaa Super Kool Hain Hum

3.5

 現在デリーではオシアン・シネファン映画祭が開催されているが、そちらではなく、通常の映画館で、2012年7月27日より公開の新作ヒンディー語映画「Kyaa Super Kool Hain Hum」を観た。この作品は、2005年のヒット作「Kyaa Kool Hai Hum」の続編となるが、ストーリー上のつながりはなく、主演のトゥシャール・カプールとリテーシュ・デーシュムクが共通するのみである。「Kyaa Kool Hai Hum」は品性オゲレツ破廉恥極まったギャグが大いに受けたコメディー映画だったが、「Kyaa Super Kool Hain Hum」はそれをさらにパワーアップさせた映画であることが期待される。

監督:サチン・ヤールディー
制作:エークター・カプール、ショーバー・カプール
音楽:サチン・ジガル、ミート・ブラザーズ・アンジャン
歌詞:クマール、マユール・プリー
振付:ボスコ・シーザー
出演:トゥシャール・カプール、リテーシュ・デーシュムク、ネーハー・シャルマー、サラ・ジェーン・ディアス、チャンキー・パーンデーイ、アヌパム・ケール、アンジェラ・ジョンソン、ディルナーズ・ポール、ラザーク・カーン、ローヒト・シェッティー(特別出演)
備考:PVRプリヤーで鑑賞。

 ムンバイー在住の若者アーディ(トゥシャール・カプール)とスィド(リテーシュ・デーシュムク)はビッグになることを夢見ていた。アーディは俳優になるのが夢で、ローヒト・シェッティー監督に付きまとっていた。一方、スィドはDJをしていた。また、スィドはサクルーという雄のパグ犬を飼っていた。サクルーは精力絶倫で、種犬として大金を稼いでいた。

 アーディは占い師から「S」で始まる名前の女性が幸運を呼び込むと告げられる。アーディは、スィムラン(ネーハー・シャルマー)という女性と出会った途端、ローヒト・シェッティー監督の新作「Chingham」の主演候補に選ばれ、彼女こそが幸運の女神だと考える。アーディは必死でスィムランにアタックし、プロポーズまでするが、しつこいアーディにうんざりしたスィムランはレズビアンだと告白して断る。スィムランに振られた途端、アーディは「Chingham」の主演候補から外される。そのことによってアーディはますますスィムランを幸運の女神だと考えるようになる。

 一方、スィドはとあるファッションショーで飛び入りDJをしていたところ、誤って変な音を鳴らしてしまう。そのときランプを歩いていたモデル、アンヌー(サラ・ジェーン・ディアス)は調子が狂ってつまずいてしまい、胸を一瞬だけさらけ出してしまう。その映像は全国で朝から晩までテレビで流され、アンヌーは大恥をかく。アンヌーはスィドへの復讐を誓う。性懲りもなく近付いて来たスィドを、ジゴロを待つおばさんたちの部屋へ送り込み、そこで散々な目に遭わせる。

 アーディとスィドは、スィムランがゴアへ行ったことを知り、彼女を追ってゴアへ向かう。ところでスィムランとアンヌーは親友で、彼女たちは2人でゴアまで来ていた。アンヌーの父親フランシス・マールロー(アヌパム・ケール)はゴアに住む大富豪であった。両親の死後は精神に異常をきたし、バーバー3G(チャンキー・パーンデーイ)という怪しげな宗教家の言いなりになっていた。バーバー3Gの影響でマールローは雌のパグ犬を母親の生まれ変わりだと信じ込んでいた。

 スィドは、ニューイヤー・パーティーの主催者がマールローであることを突き止め、DJの仕事を得るために彼に会いに行く。話はうまく行きかけたのだが、サクルーがマールローのパグ犬と交尾を始めてしまい、追い出されてしまう。スィドはマールローがアンヌーの父親だとは知らなかった。スィドはゴアでアンヌーと再会し、ファッションショーでのことを謝って仲直りする。二人の仲は急速に接近する。また、アーディもスィムランに積極的にアタックする。スィムランはアンヌーと恋仲にあるような振りをするが、次第にアーディの真剣なアプローチに心を動かされる。

 バーバー3Gは、アンヌーによってマールローの洗脳が解けるのを恐れ、またひとつお告げをする。バーバー3Gは、スィドの飼い犬であるサクルーが、彼の父親の生まれ変わりであると言う。またもそれを信じ込んだマールローはサクルーを捕まえて自分の物にしてしまう。そして2匹のパグ犬の結婚式を行おうとする。

 アーディとスィドは、スィムランとアンヌーがレズ関係にあると考えており、パグ犬の結婚式を、スィムランとアンヌーの結婚だと勘違いした。アーディとスィドは結婚式に乱入する。ところがサクルーが逃げ出し、参列した犬たちとそこら中で交尾を始めてしまい、大混乱に陥る。また、バーバー3Gの正体がばれ、焦ったバーバー3Gは銃を取り出す。しかしバーバー3Gは警察に逮捕される。この混乱の中でアーディはスィムランと結ばれ、スィドはアンヌーと結ばれる。

 前作と同じく、卑猥な言葉や表現をダブルミーニングを使って台詞に混ぜ、笑いを取るタイプのコメディー映画であった。悪く言えば前作の二番煎じであり、前作ほどのインパクトはないものの、爆笑シーンはいくつも健在で、順当な続編と言った感じだ。特にサクルーと名付けられた精力絶倫パグ犬の存在が大きく、笑いに変化球を加えていた。男優だけではなく、女優も積極的に下ネタに参加していたのもいい。決して家族向けの娯楽作品ではないが、コメディー映画としては完成している。前作の時点ではまだまだひよっこだったトゥシャール・カプールとリテーシュ・デーシュムクだが、さすがにこの7年間で貫禄が出て来ており、笑いの取り方も格段に進歩している。

 下ネタだけでなく、過去の人気映画のパロディーでも笑いを取っていた。「Singham」(2011年)を筆頭に、「Devdas」(2002年)、「Delhi Belly」(2011年)、「The Dirty Picture」(2011年)、「Vicky Donor」(2012年)など、新旧様々な映画が面白おかしく言及・パロディーされていた。ストーリーにも大きな破綻はなく、高い評価を与えたい。

 ただ、やはりこの映画で笑うためにはヒンディー語の深い理解が必要となる。多くは台詞で笑わせるタイプの笑いで、台詞のひとつひとつが聴き取れないと笑いの入り口には辿り着けない。さらに、ほとんどの台詞には第二の意味が隠されており、台詞を聴いた瞬間にそこまで把握出来ないと、笑いに達するのは困難であろう。よって、ヒンディー語学習者にとっては自身のヒンディー語のレベルを計るのにちょうどいい作品である。コメディー映画は、実は最も語学力を要するジャンルである。

 トゥシャール・カプールとリテーシュ・デーシュムクは共にチープなコメディー映画をハンドルする能力に長けており、スクリーン上の相性もいい。トゥシャールは「Golmaal」シリーズで唖の役を演じ続けており、コメディーの才能を開花させている。往年の名優ジーテーンドラの息子という親の七光りがなければ映画デビューも出来なかっただろうが、しぶとく生き残っているのは彼に幾ばくかの才能があったことを証明している。「Kyaa Super Kool Hain Hum」のトゥシャールは、今まででベストのコメディアン振りだった。

 リテーシュもコメディー映画は得意だ。トゥシャールよりも俳優としての格は上で、非常に器用な男優に成長した。基本的に何でもそつなくこなすことが出来る。このような下ネタ満載の映画もお手の物だ。トップスターはなかなかこういう映画には出演出来ない。また、主演二人を除けば、ベテラン俳優アヌパム・ケールがとても良かった。

 一方、女優陣は若手であり、二人ともまだ地盤固めの最中だ。スィムランを演じたネーハー・シャルマーは「Crook」(2010年)でヒンディー語映画デビューを果たした女優、アンヌーを演じたサラ・ジェーン・ディアスは「Game」(2011年)でヒンディー語映画デビュー。どうしても男優中心になってしまいがちな下ネタ満載のコメディー映画の中で、二人とも存在感を示しており、今後につながって行くだろう。

 音楽はサチン・ジガル。コメディー映画らしいアップテンポのダンスナンバーで溢れている。しかもおかしな題名の歌ばかりだ。「Dil Garden Garden Ho Gaya(心が庭になってしまった)」、「Hum Toh Hain Cappucino(俺たちゃカプチーノ)」など。後者は「Shool」(1999年)の人気ソング「Main Aayi Hoon U.P. Bihar Lootne」のパロディーとなっている。また、タイトルソングの「Kyaa Super Kool Hain Hum」は、前作のタイトルソングの歌詞とメロディーを引き継いでいる。

 「Kyaa Super Kool Hain Hum」は、ヒンディー語映画界が誇るお下劣コメディー映画。下ネタ満載だが、爆笑は折り紙付き。「Bol Bachchan」に引き続き、今年の優れたコメディー映画の一本に数えざるを得ないだろう。