Woodstock Villa

2.0

 今日は2008年5月30日公開のヒンディー語映画「Woodstock Villa」を観に行った。タイムス・オブ・インディア紙のレビューで3.5/5.0の評価を得ている上に、独特の作風で定評のあるホワイト・フェザー・フィルムスの制作だったからである。

監督:ハンサル・メヘター
制作:サンジャイ・グプター
音楽:アヌ・マリク
歌詞:ヴィラーグ・ミシュラー、アーリヤンス、マノージ・ムンタシル
振付:アハマド・カーン、ラージーヴ・シュルティー
出演:アルバーズ・カーン、スィカンダル(新人)、ネーハー・ウーベローイ、サチン・ケーデーカル、シャクティ・カプール、グルシャン・グローヴァー、サンジャイ・ダット(特別出演)
備考:PVRアヌパム4で鑑賞。

 ムンバイーに住む自堕落な若者サミール(スィカンダル)は、大家に滞納した家賃の支払いを求められ、マフィア(グルシャン・グローヴァー)からは借金の返済を迫られ、金に困っていた。あるときサミールはザーラー(ネーハー・ウーベローイ)というミステリアスな美女と出会う。ザーラーはサミールに、自分を誘拐して欲しいと言い出す。ザーラーは、夫の愛を確かめるために誘拐劇を自作自演しようとしていたのである。多額の報酬とザーラーの美しさに目がくらんだサミールはそれを引き受ける。

 ザーラーはサミールを、友人の別荘ウッドストック・ヴィラに連れて行く。サミールは、ザーラーの夫ジャティン・カパーリヤー(アルバーズ・カーン)に電話をかけ、身代金500万ルピーを要求する。だが、ジャティンは警察に通報し、サミールはそれを察知したため、ザーラーと身代金の交換は失敗する。

 ウッドストック・ヴィラに戻ったサミールは、ザーラーが死んでいるのを発見する。そこへ何者かから電話があり、すぐに死体を隠さないと大変なことになると脅される。サミールは死体を森の中に埋め、自動車を池に落とす。そして、バンガロールに高飛びしようとする。ところが空港のTVで放映されていたミュージックビデオにザーラーの姿が映っているのを発見する。不審に思ったサミールはムンバイーに引き返し、様子を伺う。すると、ジャティンの住むマンションからザーラーが出て来るのを発見する。サミールはザーラーを尾行し、捕まえる。

 実は彼女はザーラーという名前ではなかった。彼女の名前はレーシュミー。駆け出しの女優であった。レーシュミーはロケのために訪れたモーリシャスでジャティンと出会い、恋に落ちる。だが、ジャティンの妻ザーラーに不倫現場を見つかってしまい、取っ組み合いの最中にザーラーは死んでしまう。その死を隠すため、ジャティンとレーシュミーはサミールを巻き込んで茶番劇を演じていたのだった。全てを知ったサミールは復讐に乗り出す。

 サミールはレーシュミーを使ってジャティンをウッドストック・ヴィラに呼び出し、口止め料として大金を用意させる。そしてレーシュミーと共にその金を持って逃げる。ジャティンはウッドストック・ヴィラに駆けつけた警官に捕まってしまう。空港でサミールとレーシュミーは別々に飛行機に乗り込む。金の入ったバッグはレーシュミーが預かることになった。だが、レーシュミーは違う飛行機に乗って逃げようとする。だが、レーシュミーが持っていたバッグには金は入っていなかった。サミールは元からレーシュミーを信じておらず、偽のバッグを渡したのだった。

 二転三転があるスリリングな誘拐劇。プロデューサーのサンジャイ・グプターのトレードマークとも言える乾いた映像美が随所で見られ、緊迫感が出ていたが、惜しいことに細部で脚本の詰めが甘く、最上のスリラーとは言えなかった。

 映画の難点はいくつかあるのだが、もっとも疑問に感じたのは、自作自演の誘拐劇を演じてサミールを騙した駆け出しの女優レーシュミーが、事件後もそのまま映画に出演し続けていることである。ジャティンの妻ザーラーを演じ、死を演じたなら、少なくともしばらくは地下に潜るべきで、ミュージックビデオへの出演や映画撮影などもってのほかであろう。その点でこの計画犯罪は破綻していると感じた。また、ザーラーとレーシュミーの顔が偶然似ているという設定であったが、いくら気が動転していたと言っても、ザーラーの死体を見てレーシュミーだと勘違いするほどサミールは馬鹿ではないだろう。スリラーは脚本が命だが、この辺りの脚本の詰めの甘さが作品に決定的なダメージを与えていた。

 しかし、本作でデビューしたスィカンダルはしっかりとした演技をしており、将来有望に思えた。スィカンダルはキラン・ケールの息子であるが、前夫との間の子であるため、現在の夫であるアヌパム・ケールとは直接の血のつながりはない。ヒロインのネーハー・ウーベローイも若手だが、前作「Dus Kahaniyaan」(2007年)とは打って変わってミステリアスでセクシーな役に挑戦して成功しており、これから伸びて行きそうだ。アルバーズ・カーンはもはやベテランの年齢に達した男優だが、兄のサルマーン・カーンに比べるといつまでも見劣りのする人物である。

 スリラーにも関わらず、要所要所でミュージカルシーンが挿入されていた。ストーリーの流れを損なうようなものではなく、むしろうまく流れに乗せられたものもあったが、なくてもよかっただろう。アイテムナンバーの「Kyuun」では、サンジャイ・グプターの盟友サンジャイ・ダットが特別出演し、ギターを弾いたりドラムを叩いたりする。

 「Woodstock Villa」は、スリリングな展開が売りのハードボイルドな映画だが、このような映画を何本も観ている人にとっては先が読める展開であろう。インド映画の良さもあまり感じられず、無理して観る必要性は感じられない。