Buddha Mar Gaya

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 今日は、2007年8月17日公開の新作コメディー映画「Buddha Mar Gaya」を観た。

監督:ラーフル・ラヴァイル
制作:ラーフル・ラヴァイル、スニール・ルッラー
音楽:パッピー・レヘリー
作詞:マノージ・ムンタシル
振付:スハース・グジャラーティー
出演:パレーシュ・ラーワル、アヌパム・ケール、オーム・プリー、ランヴィール・シャウリー、ラーキー・サーワント、ムケーシュ・ティワーリー、ムルリー・シャルマー、マハーバヌー・モーディー・コートワール、モナ・アンベーガーオンカル、ボビー・パルヴェーズ、マンナト・カウル(新人)、ヒーナー・ビシュワース(新人)、マードヴィー・スィン(新人)、ジャイ・ソーニー(新人)、ディーピカー・シャルマー(新人)、ジテーンドラ・バルガヴァー(新人)
備考:サティヤム・シネプレックス・ネループレイスで鑑賞。

 カバーリー(廃品回収屋)から一代でインド最大の財閥にまでのし上がったラクシュミーカーント・カバーリヤー(アヌパム・ケール)、通称LK。彼の家には双子の妹プレールナー(マハーバヌー・モーディー・コートワール)、2人の息子ランジートとサミール(ムケーシュ・ティワーリー)、その妻シュルティーとアンジュ、ランジートとシュルティーの2人の娘サンジャナーとナムラター、サミールとアンジュの息子パワンが住んでいた。また、LKの家には、ヴィデュトバーバー(オーム・プリー)という聖者や、何十年も勤めて来た使用人(パレーシュ・ラーワル)が住んでいた。LKは有能な実業家で尊敬を集めていたが、その息子たちは無能で知られていた。

 LKの会社が株式公開をしようとしていたとき、LKは三流セクシー女優(ラーキー・サーワント)の上で腹上死してしまう。LKが死んだことが分かれば株式公開で大損してしまうことを恐れた家族は、LKの死を隠すことにする。だが、誰かが死んだことは知られてしまったため、急いで「LKの大の親友の死」ということにする。家族は急いで代わりの死体を探す。そのときちょうど病院では貧乏人ムンナー(ランヴィール・シャウリー)の父親が死んだ。ランジートとサミールは、ムンナーから死体を買う。こうしてLKの親友の葬式がでっち上げられた。葬式にはLKの友人たちが参列した。

 株式公開が行われ、サミール、プレールナー、ヴィディユトバーバーが記者会見をする。保有株を売り抜けてからLKの死を公表する手筈だった。だが、実はLKの口座に政党の軍資金が隠されており、選挙を前に党首はその金を引き出そうとしていた。LKの死が公表されるとその金が消えてしまうため、党首は部下のチンピラ(ムルリー・シャルマー)を使ってLKの家族を脅し、公表を取り止めさせる。だが、誰かが死んだことになっていたので、今度はLKの従兄の死ということになった。前回、死体が金になることに気付いたムンナーは死体売買の商売を始めており、LKの家族は彼から再び死体を買い上げた。また、チンピラはLKの右目と左手の親指を買って去って行った。それらがあれば口座から金を引き出すことが可能だった。

 今度こそLKの死を公表しようとしたが、使用人が勝手にLKの死体を持ち出して隠してしまった上に、ヴィデュトバーバーが死んだとTVで発表する。切羽詰まったLKの家族はヴィデュトバーバーを殺害し、葬式を行う。このときにはもう誰も葬式に来ようとしなかった。

 LKの家族は使用人に大金を払って、LKの死体を取り戻す。ところがLKの家には護衛の警察官が配備されてしまう。LKの家族はLKの死体をバラバラにして持ち去ることにする。ところがLKの死体の一部が警察に見つかってしまい、しかもそれがLKの死体だと分かってしまったため、LKの家族は全員逮捕されてしまう。

 死体を巡ったコメディー映画は「Malamaal Weekly」(2006年)が記憶に新しいが、この「Buddha Mar Gaya」はさらにブラックでダーティーなコメディー映画であった。「あなたは笑い死ぬだろう」がキャッチフレーズだが、残念ながら笑い死ぬほどおかしな映画ではなかった。ヒンディー語のコメディー映画には外れが少ないと思っているが(どんな支離滅裂の映画でも爆笑ポイントが必ずある)、この映画だけは観ても何も得るものがなく、後悔した。

 「Buddha Mar Gaya」には、今やヒンディー語映画界のコメディアン俳優ナンバー1の実力を持つパレーシュ・ラーワルを筆頭に、オーム・プリー、アヌパム・ケール、ランヴィール・シャウリーなど、実力のある俳優たちが名を連ねている。さらに、お騒がせセクシー女優のラーキー・サーワントまで出演しており、豪華俳優陣と言っていいコメディー映画であった。また、大富豪の父親の死を隠すための大騒動という筋書きも、十分大爆笑が期待されるものであった。しかし、映画の作りが雑だったため、大笑い出来た場面は一度もなく、最後まで欲求不満を抱えたまま映画館を去ることになった。

 コメディー映画なのにギャグが白けていたのが一番の失敗なのだが、さらにブラック過ぎるシーンが多くて気が滅入った。例えばヴィデュトバーバーをみんなで寄ってたかって窒息死させたり、LKの死体をバラバラにして持ち運んだり、LKの股間の部分が警察に見つかって、それに見覚えのあった女性警官がLKの死体だということに気付いたりと、低俗で残酷な展開が目立った。これでは心を空っぽにして笑うことが出来ない。

 この映画がもし何かの間違いでヒットするならば、その理由はラーキー・サーワント以外にはあるまい。ラーキーは女優志望の野心的な女性という設定で、ヴィデュトバーバーは彼女のことを「ヴィシュカンニャー(毒女)」と呼ぶ。ヴィシュカンニャーとは、毒を持った女性のことで、ヴィシュカンニャーと寝た男は死んでしまう。古代インドの王宮では、ライバル暗殺用にヴィシュカンニャーが育成されていたらしい。幼少の頃から少女に少しずつ毒を食べさせ続けると、ヴィシュカンニャーになるそうだ。一説によると、インダス河まで遠征して来たアレクサンダー大王の死因もこのヴィシュカンニャーだったらしい。とにかく、ラーキー演じる女性は、スターになるために色々な男と寝るのだが、ヴィシュカンニャーの力は本物で、次々に男たちは死んで行ってしまうのである。このラーキー・サーワントが無意味にセクシーな格好をしており、もしかしたらこれだけの理由で、ド田舎の映画館で下手なブルーフィルムよりも受けるかもしれない。

 なぜか映画中では「Omkara」(2006年)の音楽が多用されていた。それがさらに映画の安っぽさを助長していた。監督のラーフル・ラワイルは、デリーで映画館爆破事件を引き起こした「Jo Bole So Nihaal」(2005年)などの映画監督であるが、彼からは才能を感じない。

 「Buddha Mar Gaya」は、一見爆笑コメディー映画のように見えるが、ブラック過ぎるほどブラックな映画であり、通常の精神を持った人ならば鬱気味になってしまうだろう。全くお勧めできない。観るなら自己責任で観てもらいたい。