Fool N Final

2.0

 「Shootout At Lokhandwala」(2007年)に続き、またもオールスターキャストの映画が登場。本日(2007年6月1日)より公開の新作ヒンディー語映画「Fool N Final」である。予告編に有名ボクサー、マイク・タイソンが出演したことも話題を呼んでいる。

監督:アハマド・カーン
制作:フィーローズ・ナーディヤードワーラー
音楽:ヒメーシュ・レーシャミヤー
作詞:サミール
出演:サニー・デーオール、オーム・プリー、シャルミラー・タゴール、シャーヒド・カプール、アーイシャー・ターキヤー、パレーシュ・ラーワル、ヴィジャイ・ラーズ、ヴィヴェーク・オーベローイ、アルバーズ・カーン、ジャッキー・シュロフ、チャンキー・パーンデーイ、サミーラー・レッディー、ザーキル・フサイン、ジョニー・リーヴァル、グルシャン・グローヴァー、ラザーク・カーン、スレーシュ・メーナン、アスラーニー、マイク・タイソン(特別出演)など
備考:PVRアヌパム4で鑑賞。

 インドのダイヤモンド会社から貴重なダイヤモンドが盗まれた。実行犯はロッキー(チャンキー・パーンデーイ)で、彼はロンドンを拠点とするマフィア、チャウクスィー(グルシャン・グローヴァー)の下で働いていた。チャウクスィーはロッキーに、ドバイへ行って、兄弟のラールワーニー(アスラーニー)にダイヤモンドを引き渡すよう指示する。

 ドバイでジャンクショップを経営するチャウベー(パレーシュ・ラーワル)は、ドバイの武器商人、モスコ・チクナー(アルバーズ・カーン)から借りた金を返せなくて危険にさらされていた。チャウベーは、姪のティナ(アーイシャー・ターキヤー)、ティナに惚れている青年ラージャー(シャーヒド・カプール)と共に泥棒をして金を稼いでいた。だが、ラージャーにはここ2年ほど、別の収入があった。

 怪力男のムンナー(サニー・デーオール)は、ドバイのインド人居住区に、兄(オーム・プリー)と兄嫁(シャルミラー・タゴール)と共に住み、ガレージを経営していた。2年前、兄嫁と息子のラーフルは交通事故に遭い、ラーフルは死んでしまった。だが、重傷だった兄嫁に真実を話すことが出来なかった兄とムンナーは、道端で偶然出会ったラーフルそっくりのラージャーをラーフルに仕立て上げた。ラージャーは定期的にラーフルになってムンナーの家へ行き、その代金を稼いでいた。

 ラッキー(ヴィヴェーク・オベロイ)とボブ(スレーシュ・メーナン)は、ゲームセンターを経営していたが、ドバイのアンダーワールドのドン、JD(シャーヒド・フサイン)のために、ギャンブルファイトの戦士を探す仕事もしていた。ラッキーらは適任の戦士を見つけ出すが、ひょんなことから彼はムンナーに一撃の下に大怪我を負わされてしまう。JDに脅迫されたラッキーは、代わりにムンナーにファイトへの出場を頼み込む。また、JDはインドから女の子を連れて来てダンスバーで働かせる事業も行っていた。今回、パーヤル(サミーラー・レッディー)という美人を連れて来ることに成功したが、パーヤルは隙を見て逃げ出してしまった。JDはパーヤルを捜索していた。だが、パーヤルは実は偶然ムンナーらに助けられ、彼の家に居候していた。

 ドバイに到着したロッキーは、銃マニアだったため、まずはモスコのところへ行った。モスコはロッキーに、その日の夜に行われるギャンブルファイトでの儲け話を持ち出し、ロッキーも承諾する。その後、ロッキーはラールワーニーのところへ行くが、まだダイヤモンドは渡さなかった。彼はダイヤモンドを大事にスーツケースに入れていた。

 一方、モスコはチャウベーのジャンクショップを訪れ、借金の代わりにある仕事をすることを提案する。それは、ギャンブルファイトの会場でロッキーを誘拐し、彼が持っているスーツケースを奪うことであった。ラージャー、ティナ、チャウベーは、怪しいドライバー、パットゥー(ジョニー・リーヴァル)と共に会場の外で待ち伏せする。彼らは、ロッキーのことを心配してロンドンからドバイへやって来たチャウクスィーを殴って気絶させてしまったり、やぶれかぶれになってギャンブル場で強盗をしようとして危うく捕まりそうになるが、何とかロッキーを誘拐することに成功する。モスコはロッキーを射殺し、ダイヤモンドを持ち去る。JDやチャウクスィーもダイヤモンドを追うが、騒動の末、結局ダイヤモンドはチャウベーの飼っていた犬が食べてしまう。

 一方、JDは次のギャンブルファイトで、ムンナーにわざと負けることを強要していた。ラッキーやムンナーを脅迫するため、JDは部下に、ラッキーのゲームセンターや、ムンナーの住む居住区を破壊させる。とうとうムンナーは同意する。ムンナーは屈強な戦士たちに殴られるままとなった。一方、JDの部下は、JDが捜索していたパーヤルをムンナーの家で見つける。ムンナーがパーヤルを匿っていたことを知ったJDは、ムンナーの近所一帯を焼き討ちにすることを命令する。だが、そこにラージャーが駆けつけ、ムンナーの居住区を救う。もはや恐れるもののなくなったムンナーは反撃を開始し、JDが送り込んだ戦士たちを次々に打ち負かす。そして最後にはJDをも海に突き落とす。

 こうして一件落着となり、ムンナーはパーヤルと、ラージャーはティナと結婚することになった。また、ダイヤモンドを食べた犬はラッキーに預けられた。

 サニー・デーオール、シャーヒド・カプール、ヴィヴェーク・オーベローイなどのヒーロー男優に加え、パレーシュ・ラーワル、ジョニー・リーヴァルなどのコメディー俳優も総出演しており、かなり豪華なキャストであった。コメディー部分は爆笑に次ぐ爆笑で、シャーヒド・カプールのアクロバティックなサイクリングシーンも見事であったし、サニー・デーオールの無敵っぷりも心地よかった。だが、全体的にまとまりに欠ける映画で、一言で言うなら「期待外れ」であった。

 ヒンディー語のコメディー映画では最近、大量の登場人物が織り成すハチャメチャなストーリーが流行している。共に「コメディーの帝王」の称号を持つプリヤダルシャンやデーヴィッド・ダワンの作るコメディー映画などは正にその典型例である。基本的にコメディーであるので、観客は細かいことを気にせずに楽しめばいいのだが、いざあらすじをまとめようとすると、2~3時間の上映時間の間にあまりにいろいろなキャラがいろいろなことをするので、頭がこんがらがって細かい筋がよく思い出せないことがある。脚本が優れていれば、いかにハチャメチャな展開でも映画を観た後は割と筋が頭に残っているものだが、「Fool N Final」に関しては後に残るものがなかった。豪華キャストの割にはチープな映画だった。コメディーとしては合格だが、映画としては失格だと言える。

 コメディー部分はパレーシュ・ラーワルとジョニー・リーヴァルのおかげで最高の出来だ。大爆笑できるシーンが目白押しである。後者は最近映画への出演機会が減っているが、まだまだヒンディー語映画界で最も笑えるコメディアンだ。チャンキー・パーンデーイやアスラーニーも面白い脇役俳優である。前半でシャーヒド・カプールが見せるサイクリング・テクニック(おそらくスタントではないだろう)はスピード感があって良かった。アーイシャー・ターキヤーとのコンビも、2人とも若々しくてよく似合っていた。サニー・デーオールのキャスティングは一見異色に見えるが、うまく映画に溶け込めていたと思う。ヴィヴェーク・オーベローイも悪くなかった。

 最もミスキャスティングだったのはアルバーズ・カーンであろう。きっと根が善人なのだと思うが、今回彼が演じた悪役は全く似合っていなかった。「Shootout At Lokhandwala」(2007年)での真摯な警官役は良かったのだが。サミーラー・レッディーもほとんど出番なしでなぜ出演したのかよく分からない。ジャッキー・シュロフは最近変な役しかもらえなくなっており、可哀想だ。あと、マイク・タイソンが映画のプロモに出演していたが、本編では特に出ていなかったと思う。

 シーンとシーンの変わり目はコミックのような効果が施してあり、ポップな雰囲気を醸し出していた。

 音楽はヒメーシュ・レーシャミヤー。最後のクレジットシーンで流れる「FNF Masti (Remix)」は秀逸。ほぼフルキャストによるダンスナンバーとなっている。シャーヒド・カプールとアーイシャー・ターキヤーが踊る「Tere Layee」もポップなナンバーだ。

 「Fool N Final」は、部分部分では爆笑だが全体的なまとまりに欠けるコメディー映画であった。コメディー映画が好きなら観ても損はないが、それ以外の人にオススメできる映画ではない。