Dosti: Friends Forever

1.5

 今日は、2005年12月23日に「Vaah! Life Ho Toh Aisi!」(2005年)と同時公開された新作ヒンディー語映画「Dosti」をPVRバンガロールで観た。昨日、バンガロールでは何者かによる銃の乱射事件が発生し、インド工科大学(IIT)デリー校の教授が射殺された。こういう事件が起こると、デリーでは一気に厳戒態勢が敷かれるが、バンガロールの警戒態勢に緊張感はあまりなかった。映画館のセキュリティーも、以前に比べて微妙にタイトになっていたぐらいだった。

 「Dosti」とは「友情」という意味。副題「Friends Forever」も示す通り、友情をテーマにした映画である。プロデューサーと監督は「Barsaat」(2005年)のスニール・ダルシャン。キャストは、アクシャイ・クマール、ボビー・デーオール、カリーナー・カプール、ラーラー・ダッター、カラン・クマール、リレット・ドゥベー、シャクティ・カプール、ジューヒー・チャーウラー、アマン・ヴァルマーなど。

 カラン(ボビー・デーオール)は大富豪の息子だったが、父(キラン・クマール)からも母(リレット・ドゥベー)からも相手にされず、妹にも疎外され、寂しい人生を送っていた。だが、偶然出会った貧しい家の子供ラージ(アクシャイ・クマール)と意気投合し、固い友情を結ぶ。カランは孤児のラージを自分の家に住まわせる。

 大きくなったカランはプレイボーイとなり、毎週違った女の子と恋愛を繰り広げるようになった。一方、ラージは幼馴染みのアンジャリー(カリーナー・カプール)と相思相愛の仲であった。アンジャリーの世話を見ていた兄は、定職に就いていないラージとの結婚を渋るが、それを見たカランは父親に頼んでラージを会社の重役にする。こうしてラージとアンジャリーの結婚が決まった。

 一方、カランも遂に一人の女性に本気の恋をする。名前はカージャル(ラーラー・ダッター)と言った。カージャルはカランに数々の難題を突きつけるものの、カランもそれを一生懸命こなし、遂に2人は付き合うことになる。カランとラージは、結婚式を同じ日に行うことを約束する。

 ところが、カランが元々付き合っていたリーナーと、その父親(シャクティ・カプール)は、カランの過去を暴露してカランとカージャルの結婚を邪魔する。また、ラージもアンジャリーに結婚式を延期すると言い出し、それが原因で2人は別れてしまう。ラージはカランとも仲違いし、彼のもとを去ろうとする。ところがその瞬間、ラージは倒れてしまう。

 実はラージは治療方法のない難病に冒されていた。余命はあと少しだった。アンジャリーも他の男と結婚してしまう。だがラージは、死ぬ前にバラバラになったカランの家族をまとめてカランを立ち直らせることを決意する。ラージの努力によりカランは父、母、妹と仲直りする。また、カージャルを説得してもう一度カランとよりを戻させる。だが、アンジャリーはラージが女医(ジューヒー・チャーウラー)と共に喫茶店にいるところを見て、彼女を彼の新しいガールフレンドだと勘違いし、ラージに罵声を浴びせかける。それが原因でラージは発作を起こす。急いで病院に搬送されるラージ。輸血が必要だっただが、ラージの血液型は特殊なRHマイナスO型だった。実はアンジャリーが彼と同じ血液型を持っていた。アンジャリーはラージに血液を提供すると同時に、彼の病気を初めて知る。

 何とか一命を取り留めたラージは、カランとカージャルの結婚式の日、最後の力を振り絞って踊る。だがその後、ラージは昏睡状態になり、皆に看取られながら息を引き取る。だが、カランはラージとの友情を忘れず、生まれてきた息子にラージと名付けるのだった。

 前半までは先が読めるベタな展開だが、インターミッションを過ぎると多少ストーリーに起伏が生まれ、最後は意外とシンミリと終わった。子供時代のシーンでラージがカランに言う「友達に手を握られると痛みが和らぐんだ。抱擁すれば痛みなんて感じないんだ」というセリフが最後で生きてきたり、冒頭でラージとカランが同じ血液型であることがそれとなく語られ、それがやはり終盤でラージとアンジャリーの仲直りにつながる伏線になっていたり、と脚本には多少工夫が見られたが、全体的にはお粗末の一言。音楽やミュージカルシーンも精彩を欠いた。

 ラージとカランの少年時代のシーンは、見ていてむずがゆくなってくるほどのコテコテの展開。両親や妹から疎外されるカランの姿はわざとらしいし、サッカーボールを追いかけていったら崖から落ちそうになるのは、あまりに幼稚すぎる展開だ。なぜインド映画にはすぐ崖が出て来るのか?崖なんて普通の生活ではあまりお目にかからないのだが。とにかく、崖から落ちそうになっていたカランをラージが助けたことにより、二人の間に友情が生まれる。

 この映画を観ていて強く感じたが、インド映画の欠点は「改心」がすぐに起こることだ。心情変化の描写が稚拙、と表現してもいい。「改心」は、勧善懲悪をモットーとするインド映画にはなくてはならない要素ではあるが、その描写ががさつな映画が多い。「Dosti」もそのひとつである。ラージの努力により、カランは家族と関係を改善するが、20年以上うまくいっていなかった家族の仲がそう簡単に変わるとは思えない。結局、キャラクターの設定がいい加減ということだろう。

 この映画に見所があるとすればアクシャイ・クマールであろう。もう20代の若者を演じるには無理のある年齢になって来てはいるが、演技力でそれをカバーできるだけの俳優になった。死ぬ間際の大暴れ振りは、さすがアクション男優!対するボビー・デーオールも悪くはなかったが、髪形が変すぎた。あの顔でプレイボーイ役というのも納得できない。

 「Dosti」は男同士の友情をテーマにした映画であり、女優にあまり出番はなかった。だが、それでもカリーナー・カプールは感情の起伏をメリハリのある演技で表現していた。ラーラー・ダッターはそれに比べたらただの添え物に過ぎなかった。彼女が演じたカージャルの人物描写にも説得力がなかった。

 自動車のナンバーがチャンディーガルの「CH」だったし、「グルガーオン」という地名がセリフ中に出てきたので、舞台はデリーからチャンディーガルにかけての地域だったと思うが、特定はされていなかった。コーヒーショップを中心とした商店街が何度も出てきたが、あれはおそらくセットであろう。

 「Dosti」は、ある程度ストーリーにひねりが見られるものの、楽しい映画とはお世辞にも言えない。無理して観る必要はないだろう。