Phir Milenge

2.0
Phir Milenge
「Phir Milenge」

 最近立て続けに良さそうな映画が公開されているので、今日は気合を入れて、PVRアヌパム4で2本続けて映画を観た。まず最初に見たのは、2004年8月27日から公開されているヒンディー語映画「Phir Milenge(また会いましょう)」。監督は「Mitr: My Friend」(2002年)の監督で女優のレーヴァティー。音楽はシャンカル・エヘサーン・ロイ。キャストは、サルマーン・カーン、アビシェーク・バッチャン、シルパー・シェッティー、ナーサル、ミーター・ヴァシシュトなど。

 タマンナー(シルパー・シェッティー)はバンガロールの広告代理店に勤める26歳の女性だった。タマンナーの斬新なアイデアにより会社は急成長し、社長からも一目置かれる存在だった。タマンナーはDJをしている妹のタニヤーと共に住んでいた。ある日タマンナーは2日間の休暇をもらって、10年振りに米国からインドに帰って来たローヒト(サルマーン・カーン)に会いに行く。タマンナーとローヒトは大学時代の恋人だった。二人は一夜を共にする。別れ際にローヒトはタマンナーの腕に電話番号を書くが、うっかり彼女はシャワーを浴びてしまい、それを消してしまう。それ以来、ローヒトとは再び音信不通となってしまった。

 それから数ヵ月後、妹の交通事故をきっかけに、タマンナーがHIVに感染していることが明らかになる。その瞬間、タマンナーの人生は一変してしまう。ボスはタマンナーを解雇し、多くの友人も彼女を避けるようになる。感染経路はローヒトとの性交渉以外に考えられなかったが、ローヒトとも連絡できないままだった。数日間はショックから立ち直れなかったタマンナーだったが、今まで全人生を捧げてきた会社に不当に解雇されたことを法廷で争うことに決める。しかし、なかなか仕事を請け負ってくれる弁護士がいなかった。弁護士の多くもタマンナーがHIV感染者であることを知ると急に態度が冷たくなるのだった。若手弁護士のタルン(アビシェーク・バッチャン)も最初はタマンナーの仕事を断るが、毎日裁判所に来ている彼女を見て、彼女の弁護することを決意する。

 タルンは、恩師(ナーサル)の助言を受けて裁判所で会社と争うが、会社側は彼女の仕事に対する過信と怠慢を解雇の原因とし、HIV感染と解雇は関係ないと主張する。会社側の弁護士(ミーター・ヴァシシュト)の力もあり、タマンナーらは裁判で負けてしまう。その日、タマンナーはローヒトがインドに帰って来たことを知る。しかしローヒトは既にエイズの最終段階にあり、余命幾ばくない状態だった。タマンナーはローヒトと共に最期のときを過ごす。一方、タルンは控訴し、「エイズによって命は失われるが、人生までを奪う権利は誰にもない」と主張する。

 2年後、タマンナーはビジネス・トゥデイ誌に載るほどの実業家となっていた。

 エイズとHIV感染者に対する差別が主題の映画だった。映画の最後に、「この映画を働くHIV感染者に捧ぐ」みたいなことが書かれていたので、レーヴァティー監督は、HIV感染者が不自由なく働ける社会を作ろう、というメッセージを込めてこの映画を作ったのだと思う。決して悲しい物語ではなく、エンディングは涙と幸せが入り混じったような、インド映画的終わり方で、後味は悪くなかった。しかし全体的に整合性がなくて単調な上に人物描写や感情描写が希薄で、しかもエイズの正しい知識が得られる映画とは言えなかった。「手を触れたりキスをしただけではHIVは感染しない」ということぐらい、今や誰でも知っていると思うのだが・・・。「インドには、アメリカやヨーロッパのような、HIV患者に対する差別を罰する法律がない」という点は参考になったが、どちらかというとこの映画は、「インドでは雇用者は労働者をいつでも解雇できる」という事実を知らしめてしまっているようにも感じた。

 整合性がないと感じたのは、脇役が捨て駒的に使われていたことや、人物設定の甘さに起因している。例えばタマンナーはローヒトに会うためにかつて通っていた大学へ行き、グルジーと呼ばれる教授や後輩たちと会うが、彼らはそれっきり登場しなくなる。妹のタニヤーはラジオDJをしているが、その設定がこの映画で上手に活用されたとは思えない。会社側の弁護士は幼少時の事故で右腕を失っているが、それも特に物語の重要なファクターとはなっていなかった。タルンの恋人が最後に登場するが、それも蛇足だった。もしこれが実話を基にした映画だったら、これらの散漫な設定は理解できるのだが、どうやらフィクションのようである。もっと人物同士につながりがあると、映画としてまとまっていたと思う。

 主な登場人物は3人。最近上昇気流に乗っているアビシェーク・バッチャンと、スキャンダルから立ち直って根強い人気を見せるサルマーン・カーンと、最近ほとんど忘れかけていたシルパー・シェッティー。割と異色の組み合わせと言えるだろう。この中で目立ったのはやはり主人公のシルパー。言っちゃ悪いが彼女はメインストリームの映画の中では二流女優の域を出ていなかったのだが、この映画を機に社会派映画に進出したことは、生き残りをかけた正しい選択だったと言えるだろう。ローヒトとの久し振りの出会いに浮かれる様子、HIV感染発覚後の脱力感、そして法廷で会社と争う毅然とした態度など、いろいろな表情を使い分けていた。アビシェークもまずまずの演技をしていた。サルマーンは、死ぬ間際の演技がなかなかよかったが、それ以外はいかんせん登場シーンが少ないし、ほとんど謎のキャラクターで終わってしまっているため、評価のしようがない。

 舞台はバンガロール。政庁であるヴィダーナ・サウダーが何度か映っていた。おそらく繁華街のMGロードあたりも出ていたと思う。タマンナーが通っていた大学、芸術演劇学校というのが本当にあるのか知らないが、インドの民俗芸術や民俗舞踊などを教えている大学のようで、雰囲気がなかなかよかった。

 エイズをテーマに選んだのはよかったが、内容はありたきりで、特にインドならではという特色もない。エイズよりも、シルパー・シェッティーの起死回生の演技を見るべき映画だと感じた。


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