Masti

4.0

 今日は2004年4月9日公開の新作ヒンディー語映画「Masti」を見にPVRアヌパム4へ行った。「Masti」はヒンディー語映画の将来を担う若手の俳優が出演しているコメディー映画で、予告編を見たらなかなか面白そうだった。

 「Masti」とは「エンジョイ」みたいな意味。監督はインドラ・クマール。キャストは、アジャイ・デーヴガン、ヴィヴェーク・オーベローイ、アーフターブ・シヴダーサーニー、リテーシュ・デーシュムク、ラーラー・ダッター、アムリター・ラーオ、ターラー・シャルマー、ジェネリアなど。音楽監督はアーナンド・ラージ・アーナンド。

 ミート、プレーム、アマル(ヴィヴェーク・オーベローイ、アーフターブ・シヴダーサーニー、リテーシュ・デーシュムク)は大学時代の仲良し三人組だった。大学卒業後、それぞれ結婚をして家庭を築いた。三人とも離れ離れになっていたが、3年後、三人はムンバイーで再会した。しかし3人とも妻のことで幸せではなかった。

 ミートは宝石屋を経営し、アンチャル(ジェネリア)とラヴラヴの生活を送っていたが、あまりにラヴラヴ過ぎて、アンチャルは30分に一度はミートに電話をかけるほどの極度な愛し方だった。学生時代はプレイボーイだったミートだが、結婚してからというものの妻にがんじがらめにされた窮屈な生活を余儀なくされていた。

 プレームは銀行員となり、信心深いギーター(ターラー・シャルマー)と結婚していた。ギーターはあまりに信心深すぎて、毎日夫のために寺院へ行き、断食をしているような女性だった。プレームは線香臭い生活を余儀なくされていた。

 アマルは歯医者になった。彼はプロレス一家の娘ビンディヤー(アムリター・ラーオ)と結婚し、毎日強制的に特訓をさせられていた。家庭での権限はゼロに等しく、毎日小遣い40ルピーをもらって細々とした生活を余儀なくされていた。

 久しぶりに再会した三人は、大学時代のマスティーを取り戻すため、浮気をすることを決意する。1ヵ月後に再会することを約束し、それぞれ浮気相手を探す。三人ともいろいろ失敗しながら、何とか浮気相手を見つける。そして1ヵ月後、三人は再会し、お互い浮気相手の写真を見せあう。すると、三人の浮気相手は同一人物で、モニカ(ラーラー・ダッター)という名前のセクシーな女性だった。そこへモニカが現れる。三人の浮気作戦をこっそり聞いていたモニカは、彼らを恐喝するために罠にかけたのだった。モニカは三人が自分と浮気しているところの写真を持っていた。もし妻に浮気をばらされたくなかったら、それぞれ100万ルピーずつ持ってくるように恐喝する。

 三人は何とか300万ルピーをかき集め、モニカの元へ持っていく。ところがモニカは何者かに殺されていた。驚いた三人は、モニカの死体を廃屋へ隠す。ところが死体はすぐに発見され、スィカンダル警部(アジャイ・デーヴガン)から疑われるようになる。

 ところが三人をさらに追い詰める男が登場した。彼は自らモニカを殺害したことを暴露するが、彼は三人はモニカの死体を運んでいる写真を持っていた。この写真を警部に渡してもらいたいくなかったら、300万ルピーを持ってくるように言う。再び三人は300万ルピーをかき集めなくてはならなくなる。先に集めた300万ルピーはアマルの家の金庫に保管してあったが、泥棒に入られて盗まれてしまう。

 三人は300万ルピーを集めることができず、その男に謝りに行く。ところがそこにスィカンダル警部が現れたため、四人は逃走する。しかしその際に誤って発砲してしまい、男は死んでしまう。三人の無実を証明できる唯一の人物が死んだことにより、三人の有罪は決定的となってしまう。

 警察署へ連行される三人。そこには三人の妻たちもいた。しかし突然妻たちは笑い出す。しかもその場には、死んだはずのモニカや例の男まで現れる。なんと全ては妻たちとスィカンダル警部が仕組んだことだった。ミートら三人が浮気を計画していることを偶然知った妻たちは、友人のモニカやビンディヤーの兄スィカンダルに相談した。そこでみんなでグルになって、ミートたちを懲らしめてやろうと計画したのだった。こうして夫婦円満となってめでたく終了した。

 最後のまとめ方が強引過ぎたが、それ以外は大爆笑の中にホロリとした涙のある佳作コメディー映画だった。最近、「Jism」(2003年)や「Tum?」(2004年)、「Hawas」(2004年)、「Murder」(2004年)など、結婚後の浮気や不倫をテーマにした映画がヒンディー語映画界では流行しているが、どれも割とドロドロとした映画が多かった。しかしこの映画はそれをコメディータッチで取り上げ、なかなか成功している。どうも結婚前の恋愛映画は使い古されてしまったようで、インドの映画業界は結婚後のストーリーを模索し始めているように思われる。

 物語は、アマルの家に人々が集まってくるところから始まる。近くの茶屋では、「たった今、人生を歩み始めたばかりだったのに・・・なんて不幸な・・・」と近所の男たちが噂話をしている。若者が「その家で誰か死んだのか?」と問いかけると、「いや、アマルが結婚するんだよ」と答える。映画のテーマはまさにその一言に集約される。映画のポスターにも「結婚前の男は不完全、結婚後の男は・・・完全に破滅!」と書かれている。その後、いかに結婚が男にとって地獄であるか、三人の主人公ミート、プレーム、アマルによって描き出される。

 久しぶりに再会した三人は最初、いかに自分が幸せな結婚生活を送っており、いかに妻を尻に敷いているかを自慢し合う。しかしすぐに化けの皮ははがれ、三人とも地獄のような結婚生活を送っていることが明らかになる。プレームは、「家のダールばかり食べていたら男が駄目になる。たまには外のビリヤーニーを食べなければ!」と提案し、三人は各々浮気相手を探すことになる。しかしそのおかげで三人はモニカに騙され、殺人事件に巻き込まれ、鬼のように恐ろしいスィカンダル警部に睨まれ、さらに謎の男にまた恐喝され、とんでもない目に遭う。

 アマルの家に置いてあった300万ルピーが盗難に遭ったとき、スィカンダル警部は三人の妻の前で、彼らの犯行であることを主張する。しかし妻たちは、「私は夫を信じています」と言って、警部の言うことを信じない。それを見て、ミート、プレーム、アマルは、浮気をしようとしていたことを恥じ入る。全ては妻たちが仕組んだ計画だったことが発覚した後も、三人は怒りもせずに彼女たちに感謝する。それを見てスィカンダル警部は、「たまには家でビリヤーニーを食べさせなさい、そうすれば夫たちは外へ出ようとしなくなる」と言って一件落着となる。

 「Masti」は、現在のヒンディー語映画界を引っ張る若手男優三人、ヴィヴェーク・オーベローイ、アーフターブ・シヴダーサーニー、リテーシュ・デーシュムクが本格的なコメディーに挑戦した作品となった。ヴィヴェークの人気は既に定着しており、アーフターブも次第に頭角を現しつつある。2人とも臆病で不運な夫の役を面白おかしく演じていてよかった。特にアーフターブは全裸シーンにも挑戦している。元マハーラーシュトラ州首相の息子リテーシュだけは、個人的に今まであまり認めていなかったのだが、この作品では今までで一番いい演技をしていたと思う。彼の目はギョロ目なので時々怖いのだが、こういう二枚目の役なら活路を見出せそうだ。

 一方、妻役の三人、アムリター・ラーオ、ジェネリア、ターラー・シャルマーは、上記の三人に比べたら活躍の場が少なかったため、それほど印象に残らなかった。恐怖の警官役を演じたアジャイ・デーヴガンはますます凄みが出てきて、このままハードボイルド路線を突っ走ることだろう。元ミス・ユニヴァースのラーラー・ダッターは、三人の男を罠にかけるセクシーな女性役だったが、まあそのまんまの役と言っていいだろう。ラーラーは妖艶すぎて、ちょっとインド映画の典型的ヒロイン役には向かないかもしれない。

 コメディー映画としては上出来。退屈なときに観るといいだろう。