Mumbai Matinee

3.0

 今日は久々にPVRアヌパム4で映画を観た。僕の贔屓の男優、ラーフル・ボース主演の「Mumbai Matinee」である。2003年9月26日から封切られた。キャストはラーフル・ボース、パリーザード・ゾーラービヤーン、ヴィジャイ・ラーズ、サウラブ・シュクラーなど。監督はアナント・バーラーニー。

 ムンバイーの広告代理店に勤めるデーブー(ラーフル・ボース)は32歳の童貞で、日頃からなんとか童貞を捨てることばかりを考えていた。ある日デーブーは偶然あるチラシを手に入れる。そのチラシには、どんな悩みでも解決するバーバー・ヒンドゥスターニーの広告が載っていた。

 デーブーはバーバー・ヒンドゥスターニーに相談するためにホテル・ピカデリーを訪れる。そこの1階で出会ったのは、売れない映画監督ニティン・カプール(サウラブ・シュクラー)だった。デーブーとニティンはすぐに仲良くなるが、ニティンと2階に住むバーバーは犬猿の仲だった。ニティンはバーバーに相談することを勧めないが、デーブーは2階へと上がって行く。

 バーバー・ヒンドゥスターニー(ヴィジャイ・ラーズ)は聞きしに勝る変人だった。バーバーはデーブーに変な薬を渡す。その薬を飲んだら急にデーブーはオフィスのセクシーガール、アヌシャーにもてるようになったが、それは勘違いだった。いざ告白しようとしたらデーブーはビンタされる。

 再びデーブーはバーバーの元を訪れる。今度はバーバーはデーブーを売春宿へ連れて行くが、運悪く警察の手入れに出くわしてしまい、彼は逮捕されてしまう。ニティンの機転によりデーブーはなんとか釈放される。

 一方、映画制作で行き詰っていたニティンは、毛嫌いしていたバーバー・ヒンドゥスターニーの元へ相談に訪れる。そのときバーバーがニティンに提案したことは、恐るべきプランだった。

 三度バーバーの元を訪れたデーブーは、バーバーに言われるまま裸になって運動をする。しかしいったい何のためかは分からなかった。

 それからしばらく後、デーブーはニティンが監督した映画が公開されたことを知り、友人と一緒に映画館へ見に行く。しかしそれはなんとポルノタッチの映画で、男優はなんとデーブーだった。バーバーのところで裸で運動をしたときに、密かにビデオカメラで撮影されており、合成で勝手にポルノ映画に出演させられてしまったのだ。しかも運の悪いことにその映画は大ヒットし、デーブーは一躍セックススターとして有名になってしまう。童貞なのにセックススターとは!デーブーは怒ってホテル・ピカデリーへ押しかけるが、ニティンもバーバーも既にいなかった。デーブーは職を失い、大家から家を追い出されてしまった。

 ベンチに座ってしょげているデーブーの元へ一人の女性が現れる。ジャーナリストで、セックススターのデーブーにインタビューをしに来たのだった。彼女の名前はソーナーリー(パリーザード・ゾーラービヤーン)といった。ソーナーリーは家のないデーブーを自宅に泊まらせて、彼の話を聞く。話している内に次第に2人は恋に落ちる。しかもデーブーは驚いたことには、実は彼女も処女だった。やがて二人はめでたくベッドインするのであった。

 基本的に英語の映画だったが、ヒンディー語やベンガリー語もところどころで使用されるヒングリッシュ映画だった。ストーリーはとても分かりやすく、また奇妙奇天烈である。鬱な中に笑いがあるようなテイストの映画だ。2002年にインドで公開されたイギリス映画「The Guru」を思い起こさせるようなプロットだった。

 32歳童貞男の童貞喪失物語という、インド映画にしては少し際どいテーマだったが、軽妙なタッチだったので気軽に楽しめる映画に収まっていた。最後はロマンティックに締めくくってあるので、カップルで見ても問題ないと思う。「Boom」(2003年)のドロドロとしたエロさとは違うので、軽くヒットするかもしれない。

 ラーフル・ボースの演技はさすがで、もじもじおどおどした表情がいかにもという感じだった。その他にも極めて個性的なキャラクターが何人か登場する。その筆頭はバーバー・ヒンドゥスターニーを演じたヴィジャイ・ラーズ。彼の顔は時々ヒンディー語映画で見る。マッドな悪役のことが多いが、今回は主役を食うほどのマッドな脇役だった。

 デーブーの本名はデーバーシーシュ・チャタルジーという。これは典型的なベンガル人の名前である。デーブーが警察に逮捕されて署に連行されるシーンがあるのだが、そこの署長もベンガル人で、デーブーがベンガル人であることを知ると一転してベンガリー語で叱咤するというシーンがある。なぜかこのシーンが馬鹿受けしていた。彼らはベンガリー語を理解し、ベンガリー語の内容がよっぽど面白かったのか、ヒンディー語圏の人にとってベンガリー語自体が嘲笑の的なのか、爆笑の理由は謎である。僕は今まで、ヒンディー語映画の中でベンガリー語が出てくると必ず観客から爆笑が巻き起こるという現象を何回か見てきた。そういえばあるタミル語映画を観たときもヒンディー語を話す人が出てきたが、立場は逆転しており、道化役がヒンディー語を話して爆笑を誘っていた。インド内の言語間で軽い摩擦があるのかもしれない。