Dum

4.0

 今絶好調の新人男優、ヴィヴェーク・オーベローイ。彼は今まで「Company」(2002年)、「Road」(2002年)で、不良な若者を演じて好評を博していたが、現在まだ公開中の「Saathiya」(2002年)で初めてロマンチックヒーローを演じてこれがまた大受け。彼の潜在能力はまだ尽きていない。今日は2003年1月24日公開のヴィヴェークの新作映画「Dum」を観に、PVRアヌパム4へ行った。

 題名「Dum」は、「気合、度胸、根性」みたいな意味合いで映画中使われていたと思う。ヴィヴェーク・オーベローイのヒロインを務めるのは、これまた若手の中で最も勢いのある女優ディヤー・ミルザーである。他にアトゥル・クルカルニー、スシャーント・スィン、ヤシュパール・シャルマー、ムケーシュ・リシ、ラーキー・サーワントなど。ヤナ・グプターがアイテムガール出演。監督はイーシュワル・二ヴァース。

 ウダイ(ヴィヴェーク・オーベローイ)とモーハン(スシャーント)は警察官になるのを夢見て日々切磋琢磨し鍛錬する若者だった。彼らは警察官試験を受け、見事一次試験を突破する。そのときの試験官ラージ(ムケーシュ・リシ)は以後彼らのよき相談相手となった。

 ウダイは妹の見合い相手の妹カーヴェーリー(ディヤー・ミルザー)と恋に落ちる。ウダイとカーヴェーリーは兄弟の結婚式の準備を進めながらデートを重ねていた。そのとき、後にウダイの天敵となる悪徳警察官シャンカル(アトゥル・クルカルニー)と遭遇する。酔っ払ってカーヴェーリーに嫌がらせをしたシャンカルに、ウダイは殴りかかり、シャンカルは顔に大怪我を負う。その傷痕は消え去ることなく、それによってシャンカルのウダイに対する憎悪は増幅されるのだった。

 ウダイの妹の結婚式の日、シャンカルはウダイを探し出して拉致し、拷問を加える。ボロボロになったウダイは線路の上に放置されるが、間一髪で助かる。しかしシャンカルによって負わされた怪我により、ウダイは警察官試験の二次試験を受けることが難しくなる。だがウダイは気合でその怪我を克服し、警察官に内定する。ところが警察官になるのに必要な推薦状を作成する役を請け負ったのがシャンカルだった。シャンカルはウダイが生きていることを知り、再び魔の手をウダイとウダイの友人、家族に伸ばす。このときの襲撃により、ウダイの親友モーハンは命を落としてしまう。

 ウダイとシャンカルの復讐合戦は繰り返されるが、最後にウダイとシャンカルは一対一、素手と素手の殴り合いを繰り広げ、ウダイはシャンカルを抹殺する。

 ほとんどヴィヴェーク・オーベローイのワンマンショー的映画だった。同じく人気沸騰中の女優ディヤー・ミルザーがせっかく共演しているのに、彼女は添え物でしかなかった。ヴィヴェーク・オーベローイのモダンな男らしさ満載の3時間。これを見てヴィヴェークのファンにならない人はいないだろう。僕は彼に「現代のアミターブ・バッチャン」または「サニー・デーオール二世」という称号を与えたい。怒れるインドの若者の叫びを代弁する熱いヒーローの誕生だ。

 ヴィヴェーク洗脳光線は、まず最初のミュージカルシーン「Dum」から始まる。黒い革ジャンを来た男たちが炎と闇の中で繰り広げる踊りで、非常にかっこいい。ヴィヴェークが飛び蹴りを喰らわしたサンドバッグが大爆発するシーンが秀逸。ヴィヴェーク・オーベローイはバイクとも相性が抜群で、砂漠の中を仲間たち(?)と隊列を組んで疾走するシーンは、「Kuchh To Hai」(2003年)でトゥシャール・カプールが踊る「Ding Dong」の同じようなシーンとどうしても見比べてしまい、改めてヴィヴェークのかっこよさが強調される。

 冒頭のミュージカルシーン「Dum」ですっかりヴィヴェークにしびれ切ってしまうが、決定的な洗脳シーンはすぐ後にやって来る。ヴィヴェーク演じるウダイと、ディヤー・ミルザー演じるカーヴェーリーが見つめ合うシーンがあるのだが、そのときにヴィヴェークのつぶらな瞳のアップが長時間映し出されるのだ。しかもヒロインのディヤー・ミルザーの瞳のアップ・シーンを差し置いて・・・。

 あらすじははっきり言って暴力インド映画の典型であるが、ヴィヴェークの男らしい魅力と、アトゥル・クルカルニーが憎たらしくもコミカルな悪役を演じたことから、楽しめる映画に仕上がっていた。それに音楽が非常にいい。音楽監督は現在もっとも伸び盛りの若手サンディープ・チャウター。ポスト・レヘマーンとでも呼ぶべきヨーロピアンな音楽を作る人だ。「Dum」のCDはオススメである。

 「Dum」のCDの中にはいい曲がたくさんあった。その中でもっともインド人受けしそうなのが、「Babuji Zara Dheere Chalo(ちょいとゆっくり行きましょうな、あなた)」。後半のあまり関係ないシーンでいきなり挿入されたが、この映画でもっとも盛り上がる部分だろう。色っぽい女優が酔っ払いの男どもに囲まれながら踊る映画「Company」の「Khallas」タイプのシーンだった。映画が終わった後、「バ~ブ~ジ~・ザラ・ディ~レ~・チャロ~」と合唱する若者が続出していた。それにしても最近映画の途中であまりストーリーとは関係なくゲストダンサーの色気ムンムン・ハイテンションなミュージカルシーンが突然挿入される映画が増えてきたような・・・それとも昔からか。「Shakti: The Power」(2002年)の「Ishq Kaminaa」がいい例だ。

 映画の最後でヴィヴェークは観客に問いかける。「お前の心にDumはあるか?」と。この映画の影響をモロに受けた若者たちが、悪徳警官をぶん殴る事件とか起こりそうである。