Makdee

3.0

 インド映画には珍しいのだが、「Makdee」という子供向けヒンディー語映画が2002年11月22日から上映されていた。僕の友達が観に行ったのだが、客に子供が多すぎて入るのを躊躇したらしい。そこで今日はその友達と一緒に、PVRアヌパム4へ「Makdee」を観に行った。

 「Makdee」とは「蜘蛛」という意味。ポスターを見てみると、子供が主演のホラー映画っぽかった。キョンシーのパクリというところか。シカゴ国際子供映画祭で準優勝したそうだ。監督はヴィシャール・バールドワージ、主演はマカランド・デーシュパーンデーイ、シャーバナー・アーズミー、シュウェーター・プラサード。

 チュンニー(シュウェーター・プラサード)は平和な村に住むお転婆で勉強嫌いな女の子だった。一方、双子の妹ムンニー(シュウェーター・プラサード)は内気で優等生タイプの女の子だった。チュンニーとムンニーの顔は瓜二つだったが、ムンニーの鼻の下にはホクロがあり、それで見分けが付いた。チュンニーはホクロを付けてムンニーに化け、いたずらをしたりしていた。チュンニーの天敵は鶏屋のカッルー(マカランド・デーシュパーンデーイ)だったが、その息子のムガル・アーザムとは仲良しだった。

 チュンニーの村にはマクリーと呼ばれる魔女が住んでいた。村外れにマクリーの家があり、その中に入った者は魔法で動物に変身させられて出てくるのだった。村人たちはマクリーを恐れて中に入ろうともしなかった。マクリーの被害に遭う子供たちが続発するにも関わらず、村の警察も村長もブラーフマンも、何もしようとしなかった。

 ある日、チュンニーの悪戯からムンニーは間違ってマクリーの家へ入り込んでしまった。例によって村人たちは口では「何とかしよう」といいながら、あれこれ言い訳をしてムンニーを助けに行こうとしなかった。そこでチュンニーはムンニーを探しに恐る恐るマクリーの家の中に入った。

 マクリーの家の中に入ったチュンニーは、遂にマクリーと対面する。マクリーは、髪の毛ボサボサ、ガサガサの肌、奇妙な形の指をした恐ろしい容姿をしていた。ムンニーは鶏に変身させられていた。ムンニーを元に戻してくれ、と頼むチュンニーを見て、マクリーは条件を与える。

 「100匹の鶏を夜明け前に持ってくること、これからチュンニーはチュンニーとムンニーの1人2役を演じなければならないこと、そしてムンニーがいなくなったことが村人にばれてはいけないこと。これが満たされれば、ムンニーを元に戻す」

 チュンニーは泣く泣く鶏になったムンニーを抱えてマクリーの家を出てくる。それからチュンニーはムンニーの分まで生きなければならず、また夜な夜なカッルーの家から鶏を盗んでは、マクリーの家に届けていた。

 ところが、そんな生活を続けられるはずがなく、とうとうチュンニーは起こった出来事をムガル・アーザムと先生に話す。先生はその話を聞いて単身マクリーの家に入る。ところが先生は犬になって帰って来た。・・・が、その犬はよく見ると、ムガル・アーザムが飼っていた犬だった。それを見て二人はマクリーが魔女ではないことに気付く。

 チュンニーとムガル・アーザムはマクリーの家に忍び込むが、やはりマクリーが現れると恐怖に震える。そして二人は落とし穴にはまってしまう。しかし落ちた先にはムンニー、先生や、その他の動物に変身させられたはずの子供たちがいた。実はマクリーは、屋敷の地下に埋まっているという伝説の宝を探していたのだった。マクリーは捕らえた子供たちに地下を掘らせていた。チュンニーが怒り任せに地面に突き刺したスコップが、カチリという鈍い音を発した。そこから金の仮面が出て来た。

 マクリーが魔女ではないことに気が付いた男がもう一人いた。カッルーである。カッルーもあの犬を見て全てを悟ったのだった。カッルーは包丁を手にマクリーの家に乱入し、金の仮面を手に入れて狂喜乱舞していたマクリーと格闘を繰り広げる。穴から抜け出したチュンニーはマクリーを落とし穴に落とすことに成功する。こうして、村は迷信と不正を暴いたのだった。

 子供向け映画ということで、なるべくお手柔らかに批評しようと思う。まず、雰囲気は「ズッコケ三人組」シリーズに似ていた。スリルとサスペンスがありながらギャグもあり、最終的に子供の知恵が大人の悪巧みに打ち克つというストーリーラインは、まさに僕が子供の頃に好きだった「ズッコケ三人組」である。そしてインドの豊かな自然の中で――おそらくケーララ州の熱帯雨林と河の織り成す自然の中で――のびのびと生きる子供たちの姿が生き生きと描かれており、僕も幼少時代をインドの田舎で過ごしたかったな・・・と思った。登場人物もまさに絵に描いたようだったが、それもこの映画なら許される。厳しい先生、マッドな鶏屋、役立たずの警官、金の亡者のブラーフマン、優柔不断な村長などなど・・・。まるでお伽話のような、何か懐かしいような、極端だが魅力的な登場人物設定だった。

 そして村外れに住む魔女マクリー。そういえば僕も昔、家の近くにあった廃屋に、オバケを探しに友達と潜入したことがあった。子供というのは、毎日何か謎の種を探しているものだ。そんな思い出とオーバーラップさせながら見ると、少しは楽しめる映画かもしれない。

 決して発想は悪くなかったと思う。一部は非常にうまく行っていたと思う。特に村から子供たちが次々と失踪する前半は、ハラハラドキドキしてよかった。だが、惜しいかな全体としてお粗末な印象を受けた。特に最後の部分はやたらと急ぎ過ぎていて、あっという間に事件が解決してしまった。こんなのでいいのか、と言うくらいである。レアな映画だったことは確かだが、見終わった後の気分は、まるで値段だけ高くて量が少ないフランス料理を食べ終わった気分だった。

 映画全体の出来は納得できなかったが、キャストの演技はなかなかだったと思う。やはり主演のシュウェーター・プラサードがよかった。まだ10歳くらいなのに、既にダブルロールを立派に演じていた。「Deewangee」(2002年)のアジャイ・デーヴガンと同じくらいの演技力だった。この子はテレビドラマでけっこう出演しているみたいで、もしかして将来子役から大女優へ成長を遂げるかもしれない。ま、インド人の女の子は15歳くらいが一番かわいいので、どうなるか分からないが・・・。