Chor Machaaye Shor

1.0
Chor Machaaye Shor
「Chor Machaaye Shor」

 今日はジャナマーシュトミー(クリシュナの誕生日)のため学校は休みだった。ジャナマーシュトミーは本当は明日なのだが、なぜかその前日も休みになるみたいだ。サンスターンだけでなく他の大学も休みになってたみたいなので、一般的なことらしい。てっきりサンスターンの教師が休みが欲しいから勝手に休日にしてるかと思ってた。

 今日は暇に任せて馬鹿馬鹿しい映画を観てしまった。本当は本日(2002年8月30日)より公開の個人的に話題作「Agni Varsha」(2002年)をPVRアヌパム4へ観に行ったのだが、他のインド人にとっても話題作だったみたいで、チケットは売り切れだった。そこで同じく本日より封切られた「Chor Machaaye Shor(泥棒が大声をあげる)」を観ることにした。監督はデーヴィッド・ダワン。主演はボビー・デーオール、シルパー・シェッティー、そしてビパーシャー・バスである。

 泥棒のシャーム(ボビー・デーオール)は3億ルピー相当のダイヤモンドを仲間のティトー、トニー、ジョニーと共に盗み出し、彼らを裏切って一人で逃走した。しかし警察から逃げ切れないことが分かると、建設中の建物の通気口にダイヤモンドを隠し、逮捕された。シャームは2年間服役し、娑婆に戻ってくる。

  早速ダイヤモンドを隠した場所へ行ってみるが、その建物はなんと警察署になっていた。シャームは警察の制服を着、付け髭を付けて警察署に侵入するが、そのときちょうど銃を奪って逃走した犯人を捕らえるという手柄を立てる。シャームはラームと名乗り、今日配属されてきた警官であると言い繕ってなんとか信用される。

  警察官ラームとなってしまったシャームは、幸か不幸かとんとん拍子に手柄を立てて、署長の信頼を得る。また、ランジーター警部(ビパーシャー・バス)も彼に思いを寄せるようになる。しかしジョニーが逮捕されたことにより、2年前ダイヤモンドを奪った泥棒シャームであることがばれそうになる。彼はシャームは自分の弟であるとさらに嘘をつきごまかすが、署長はシャームを改心させるから会わせろ、と余計なお世話を焼き出す。シャームは付け髭を外して署長に会うが、署長は彼を自分のドライバーとして雇うことに決めてしまう。それからというものの、付け髭をつけ、制服を着た警察官ラームと、付け髭を外したシャームの二重生活が始まった。また、署長の娘カージャル(シルパー・シェッティー)がシャームに恋をしてしまう。

  シャームは署長の目を盗んでダイヤモンドを探すがなかなか見つからない。その内ティトー、トニーもシャームを見つけて警察署の中にチャーイ屋に変装してやってくるわ、逮捕されていたジョニーが脱走するわで、何度もラームがシャームであることがばれそうになるのだが、その都度適当にごまかしていた。

  やっとシャームはダイヤモンドを発見するが、その後はシャーム、ティトー、トニー、ジョニーたちのダイヤモンド取り合い合戦となる。そしてラームとシャームが同一人物であることも遂に署長にばれてしまう。しかし最後にそのダイヤモンド争奪戦を制するのはシャームで、カージャルと一緒に海外へ旅立つのだった。

 どんな映画かと思ったら、ストーリーよりもギャグが優先されるコメディー映画だった。無理あり過ぎの強引なストーリー、脈絡なく挿入される変なミュージカルシーン、人類の限界を超越したアクションシーン、あまり解決になってないエンディング・・・もういい。細かいことは気にしない。十分に苦笑にしろ、呆れ笑いにしろ、何らかの形で笑わせてもらっただけで僕は満足だった。しかしPVRで150ルピーを払ってまで観る映画じゃなかった。テレビで観れば十分だ。映像もなぜかあまり鮮明じゃなかったし。

 インド映画には伝統的にダブルロールの手法がよく使われる。この映画もダブルロールのオンパレードで、それで笑いをとっていたようなものなのだが、なにしろ脚本がお粗末なので陳腐な笑いで終わっていた。脇役を固める優れたコメディー俳優のおかげで、なんとかコメディー映画としての体裁は保っていたが。もっと丁寧に作ればなんとか見れる作品になったような気もしないではないのに・・・。何となく、まるで何かのノルマを達成するために機械的に作られた映画のような雰囲気すらあった。儲けることを目的とするでもなし、評論家から評価されることを目的とするでもなし、何のために作られたのか理解しかねた。

 僕のお気に入りの女優ビパーシャー・バスが出ていたことが、この映画を観る気になったひとつの要因だったのだが、彼女の役は何が何だかよく分からないおかしな役だった。一応ラーム警部に恋をする女警察官なのだが、どうして恋に落ちたかがほとんど描かれておらず、恋に落ちたはずなのに全然恋する乙女っぽい役柄でもないし、ラームがシャームであることが分かってからは何の説明もなしにスクリーンから姿が消えてしまっていた。ビパーシャーはデビュー以来「Ajnabee」(2001年)、「Raaz」(2002年)とヒット作を連発していたのだが、ここに来て遂に駄作に出演してしまったようだ。お願いだから作品をよく選んで出演してもらいたい。

 音楽はアヌ・マリク。彼も僕のお気に入りだったのだが、この映画の音楽に彼の才能の一片も見当たらなかった。踊りも変だったので、苦笑するしかなかった。ただ、シルパー・シェッティーはけっこう踊りがうまいと思った。それにしてもボビー・デーオールはいつからコメディー路線になったのだ・・・?