Aankhen

3.5

 2002年4月5日公開のヒンディー語映画「Aankhen」を観るため、授業後PVRアヌパムへ向かった。「Aankhen」は満員状態だった。学校が休みだったこともあってか、家族連れが多かった。学校が終わってから直接来たので、僕は教科書や辞書を入れた手提げ袋を持っていた。インドの映画館は入場制限が厳しくて、カメラ、ハンドバッグ、電気製品、携帯電話などは持ち込み禁止となっている。僕ももちろん止められたが、「この前来たときは持って入れたぞ」とごねてみたら通してくれた。

 「Aankhen」は「目」という意味。「Kabhi Khushi Kabhie Gham」(2001年)に匹敵するほどのマルチスター映画である。監督はヴィプル・アムルトラール・シャー。出演者はアミターブ・バッチャン、アクシャイ・クマール、スシュミター・セーン、アルジュン・ラームパール、パレーシュ・ラーワル、ビパーシャー・バスなどなど。チケットを手に入れるのにちょっと苦労したので、かなり期待しての鑑賞となった。

 ヴィジャイ・スィン・ラージプート(アミターブ・バッチャン)はVJ銀行のマネージャーで、人生を銀行のために捧げたような人間だった。銀行の対する情熱はときには冷酷な態度となって表れ、お金をネコババしようとした銀行員を公衆の面前で滅多打ちにするという暴挙にまで及んだ。そしてこれが原因となってラージプートは25年間手塩にかけて育ててきた銀行から追い出されることになった。

  ラージプートは銀行に復讐するために策をめぐらした。ある日、盲学校の前を通りかかったラージプートは名案を思いつく。盲人に銀行強盗をさせるというとんでもない作戦である。もし警察に捕まりそうになっても、盲人が銀行強盗をするとは誰も思わない。そのうえ、万が一捕まったとしても、盲人に自分の顔を見られる心配はない。ラージプートは早速3人の優秀な盲人を選出する。ヴィシュワース(アクシャイ・クマール)、アルジュン(アルジュン・ラームパール)、イリヤース(パレーシュ・ラーワル)である。ヴィシュワースは元カヌー選手、アルジュンは元サッカー選手、イリヤースは乞食に近いハルモニウム演奏家である。また、盲学校の先生だったネーハー(スシュミター・セーン)の弟を誘拐・幽閉し、ネーハーを3人の盲人の教育係にしてしまう。

  ラージプートは自宅にVJ銀行とそっくりのセットを造り、そこでネーハーに盲人を訓練させた。ラージプートはその訓練をただ見守っているだけで、盲人たちには存在すら知られないようにしていたが、勘の鋭いヴィシュワースはネーハーを操っている陰の人物の存在を敏感に感じ取っていた。1ヶ月以上に渡る訓練の中で、3人の盲人は銀行の内部の様子を全て把握し、目の見える人と同じように動くことができるようになった。また、3人とネーハーの間にも信頼感が芽生えていった。

  ついに決行の日が来た。ヴィシュワース、アルジュン、イリヤースは変装してVJ銀行に入り、ラージプートも当日偶然を装って銀行のロビーに座って密かに指令を出していた。途中までは作戦通りに動いたのだが、思わぬハプニングが起きて計画が狂ってしまう。しかしその混乱の中から3人は銀行から大量の財宝を奪って逃走することに成功した。計画が狂ったのはラージプートだった。実際は盲人3人に人質に取られる形で銀行を出る予定だったのだが、3人は別の人間を間違って人質に取って逃げてしまったのだ。

  まんまと逃走したヴィシュワースたちはイリヤースに全ての財宝を預けて姿をくらませた。ラージプートはネーハーと共に待ち合わせ場所であるラージプートの家へ行き、自分の正体を明かして財宝がどこに行ったのかを問い詰めるが、2人は口を割ろうとしなかった。それと同時に刑事がイリヤースの似顔絵を貼り出して徹底的に捜査を開始する。イリヤースはみんなの元に帰ってきたものの、酔っ払っており、財宝の入った袋をどこかへ置き忘れてしまっていた。ヴィシュワースとアルジュンは、財宝を探しに出掛けるが、その間にイリヤースは2階から転げ落ち、ネーハーは自殺してしまう。直感により危険を察知したヴィシュワースとアルジュンはすぐにラージプートの家に引き返すが、既に2人は死んだ後だった。ヴィシュワースとアルジュンは怒り、ラージプートと取っ組み合いになる。しかし盲人と目の見える人間との争いでは勝敗は目に見えている。2人はラージプートに殺されそうになる。

  ところがそのとき、ラージプートの家に刑事が尋ねてくる。床に死体が転がっている状況を見て尋常ではない状況を察知した刑事は、ラージプートに何が起こっているのか問い詰める。ラージプートは「銀行強盗の犯人を見つけて射殺した。まだ2人残っている」と言い訳をする。ヴィシュワースとアルジュンはピンチに陥るが、土壇場でいかにも盲人のような仕草で登場する。警察たちは盲人が銀行強盗をしたとは全然信じない(←ここがミソ)。ラージプートは彼らが犯人だと言い張るが、誰も信じなかった。焦ったラージプートはとうとう自分で「オレがこいつらに銀行強盗をさせたんだ」と暴露してしまい、警察に捕まってしまう。ヴィシュワースとアルジュンは始終とぼけた盲人を演じて、全く警察には相手にされなかった。

  ラージプートが逮捕された後、ネーハーの弟を助け出したヴィシュワースとアルジュンだが、今回のことで失ったものは多かった。絶望に打ちひしがれているとき、ヴィシュワースはイリヤースが持っていたハルモニウムの中に何かがあることに気付く。開けてみると、中には銀行から盗み出した財宝がそのまま入っていた。それはイリヤースの知恵だった。こうして、多大な犠牲を払ったものの、盲人のヴィシュワースとアルジュンは財宝を手に入れることができたのだった。

 先が予想できない飽きさせない展開で、オチもちゃんとついており、なかなかよく出来た映画だった。3人の盲人が銀行強盗をするというストーリーも、突拍子が無くて新鮮だった。また、パレーシュ・ラーワルのコメディアン振りがはまっていて、場内からは笑い声が絶えなかった。やはり荒を探せば突っ込みどころは多いのだが、単純に楽しめた娯楽作品だった。僕の好きなビパーシャー・バスはアクシャイ・クマールの死んだ恋人役でゲスト出演しただけだったのはちょっと残念か。

 「Ajnabee」で初出演して以来、ビパーシャー・バスはどうもアクシャイ・クマールとのペアが定着してしまっているような印象を受ける。音楽もいい。踊りは少しハチャメチャな感じがした。盲人が見ればきっと勇気付けられる映画なのだろうが、残念ながら盲人は映画を観ることはできない・・・。


https://www.youtube.com/watch?v=FCOjkWQnPRM