Deewaanapan

3.0
Deewaanapan
「Deewaanapan」

 2001年11月16日に何本か新作映画が公開され始めた。その中でももっとも楽しみにしていた映画「Deewaanapan」を観に行くことにした。敢えて邦題にすると「マッドマン」。監督はアシュ・トリカー。今イチオシの若手スター、アルジュン・ラームパールとディーヤー・ミルザーが主演しているし、予告編もなかなか楽しそうだった。コンノートプレイスの映画館オデオンで12:30からだった。思えばインドに来てからオデオンで上映されている映画は全て観ているような気がする。「Yaadein」(2001年)、「Nayak」(2001年)、「Ajnabee」(2001年)、「Rehnaa Hai Terre Dil Mein」(2001年)、そしてこの「Deewaanapan」などなど、一番よく来ている映画館である。入れ替わりが早いだけかもしれないが。

 12時頃映画館に行ってみると、やはり公開されたばかりなので映画館の辺りには開館を待つインド人でいっぱいだった。一番安い40ルピーのチケットは売り切れていたが、リア・ストールの60ルピーのチケットはまだ残っていた。すかさず購入した。

 舞台はまずニュージーランドから始まる。キラン(ディーヤー・ミルザー)はムンバイーから修学旅行でニュージーランドに来る。そしてニュージーランド在住のインド人スーラジ(アルジュン・ラームパール)と出会う。たちまち二人はお互いに惹かれ合い恋に落ちるが、キランはインドに帰ってしまう。そんなとき、ちょうどスーラジの父親がムンバイーに転勤することになり、スーラジもムンバイーの大学に通うことになる。そしてキランとも再会を果たす。とこがキランの父親は地元の有力者ランヴィール・チョウドリー(ヴィノード・カンナー)で、娘を溺愛しており、恋人のスーラジを激しく憎むようになる。ランヴィールはあらゆる手段でスーラジと彼の家族に嫌がらせをし、ムンバイーから追い出そうとするがスーラジたちは負けない。キランは父親と恋人のふたつの愛に挟まれながら苦悩する。最後はスーラジが血まみれになりながらもランヴィールの手下たちを一人でやっつけ、キランへの愛を命がけで見せて何とかランヴィールに認めてもらう。

 インド映画研究家の松岡環さんも言っておられたが、若い男女が恋愛し、親がその結婚に反対している場合、インド映画では普通駆け落ちという手段ではなく、なんとか親にその結婚を認めてもらおうと努力するストーリーが多い。この「Deewaanapan」もそうだったし、大ヒット映画「Dilwale Dulhaniyan Le Jayenge」もそうだった。こういう辺りがいかにもインドの道徳観を如実に表していて微笑ましい。

 映画の出来は良くもなく悪くもなく、というところか。普通に何も考えずに見て楽しめる映画である。ロマンスあり、アクションあり、海外ロケありのバリバリのインド映画である。特に若手スター、アルジュン・ラームパールとディーヤー・ミルザーはやはり光っており、この二人を見るためだけでもこの映画は見る価値がある。敢えて言えばアルジュン・ラームパールはサルマーン・カーン、ディーヤー・ミルザーはアイシュワリヤー・ラーイに似ているのが気になるところだが、どちらも国際的に通用する美男美女で、もちろん日本人受けもいいのではないだろうか。アルジュン・ラームパールは今回の映画ではやたらと動き回っていたのが印象的だった。ダンスシーン然り、ファイトシーン然り。若さが溢れていて非常にこれからの活躍が期待できる。ちょっと動き回りすぎ、やたらと脱ぎすぎ、というシーンもあったが・・・。